銀河荘の時間へようこそ

History of Gingaso

銀河荘は明治十八年(一八八五年)以前に建てられました*1。この辺りではめずらしい鍵型*2の茅葺き古民家です。
百三十年もの間、家主は替わっても、奇蹟的にその姿を現在に残すことができました。
二〇〇四年に四代目の家主となった私たちは、できるだけ本来の姿に戻したいと考えました。

日本古来の伝統的な建築技術を持つ数少ない職人さんを探し、茅*3を葺き替え、土壁をやり直し、アルミサッシを木枠の窓に入れ替え、土間を昔ながらの三和土*4にし、竈*5を造り、炭だけではなく薪が焚ける大きな囲炉裏を造り、長州風呂*6を設置して、二年半の時間をかけて生まれ変わりました。
どの仕事も職人さんによる、見ていてとても美しい作業でした。気の遠くなるような細かい作業をひとつひとつ丁寧にこなしていく様子には感動すら覚えました。

日本の伝統的な暮らし、合理的でゴミを出さない昔ながらの地球にやさしい生活習慣、職人の手仕事による機能的で美しい道具たち。
いま誰かが気が付かなければ現代の便利さを追求した生活の波に押されてなくなってしまう、という危機感と、 そういった昔の生活を博物館の中だけではなく、実際の生活を通して体験したい、そして次の世代へと残していきたい、との思いから銀河荘で百年前のような生活を始めることになりました。

忙しい現代に生きる私たちだから、あえてこういった暮らしを選択することによって、昔ながらの生活を営みながらも現代社会で生きることは可能なのだというメッセージを伝えられれば幸いです。
昔の生活は時間がかかって不便なだけのものではない、ということを大人と一緒に新しい時代をになう子供たちにも体験してもらえる場にできたら、と思います。


*1 明治一八年は役所の記録にある登録日なので、実際に建てられたのはそれより前だったでしょう。
*2 昔の鍵の形。L字型。
*3 (かや) 山茅。すすき。茅葺き屋根は藁葺き屋根の三倍の期間葺き替えなくても良いと言われる。
*4 (たたき)
*5 (かまど)
*6 鉄の鋳物製の薪風呂。底板を踏んで入ります。俗に「五右衛門風呂」とも言われますが、五右衛門風呂は鉄鍋の上に木製の桶を載せたものであり本来別物です。
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